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Ricoh 5.3-22mm F2-3.5(1/1.7")の特許

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リコーが5.3-22mm F2-3.5特許を出願中です。 1/1.7"の撮像素子に対応し、35mm判換算で24-100mm相当のレンズです。 ペンタックスQ等で使われている1/2.3"の撮像素子に使用した場合は換算29-121mm相当なので、異なる撮像素子でも使い易い画角のありそうなレンズですね。

Ricoh 5.3-22mm F2-3.5

patent: 5.3-22mm f/2-3.5

特許文献、及び要約・自己解釈

  • 特許公開番号 2012-211956
    • 公開日 2012.11.1
    • 出願日 2011.3.30
  • 実施例1
    • 焦点距離 f=5.29-10.80-22.04mm
    • Fno.=2.04-2.84-3.39
    • 半画角 ω=44.64-24.90-12.32°
    • レンズ構成 8群11枚
    • 非球面 3面2枚
    • 正負正正
performance
wide tele
Ricoh 5.3-22mm F2-3.5 Ricoh 5.3-22mm F2-3.5 Ricoh 5.3-22mm F2-3.5

左から球面収差、非点収差、歪曲、コマ収差

GR DigitalというよりはGX/GXRシリーズ、或いは…

1/1.7インチで開放側F値2.0というカメラはキヤノンS100、パナソニックLX5、オリンパスXZ2等、メーカー各社が発売していますけど、もうお腹一杯です。

ところでペンタックスQのPENTAX-06 TELEPHOTO ZOOM 15-45mm F2.8は、1/1.7インチに合わせて設計されているようで、換算70-200mmに近い画角を得ることが可能です。 換算70-200mmの小型軽量なレンズとしてパナソニック35-100mm F2.8が筆頭に上がりますが、ペンタックスQも忘れないでもらいたいものですね。 そもそもペンタックスQのカメラボディは1/2.3"しか無いので、止むを得ないのでしょう。

あるマウントの撮像素子サイズが変わる可能性がある場合、どの撮像素子サイズでも使い易い画角だと潰しがききますね。 例えば24mmはフルサイズで使い易いのは勿論のこと、APS-Cだと換算36mmで使い易く、4/3"では換算48mmというメジャーな画角になります。 特許のレンズは1/1.7"と1/2.3"のどちらの撮像素子で使ってもメジャーな画角のズームレンズになるので、柔軟な対応が可能ですね。

今回の特許と無関係ですがキヤノンの55mm F1.3って有り得ない話ではないですよね。


Sony 液晶による光量調整の特許

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ソニー液晶駆動によって光の透過量を調整する特許を出願中です。 低照度時には液晶を使わないことで光量を確保し、代わりに透明の樹脂を使うことで光路長を一致させる改善を行ったようです。 光量調整の幅に自由がきくようになれば、表現の幅も広がりそうですね。

Sony 液晶による光量調整の特許

特許文献、及び要約・自己解釈

  • 特許公開番号 2012-212078
    • 公開日 2012.11.1
    • 出願日 2011.3.31
  • 調光セルは、第1透明基板、収容層セル、第2透明基板から成る
  • 収容層セルは、液晶部、透明部から成る
  • 液晶部 (透過率可変部)
    • GH型液晶
    • セルを移動させなくても、電圧の印加によって透過率を調整可能
    • 最大光透過率は例えば50%程度
  • 透明部 (透過率固定部)
    • 樹脂材料
    • 光透過率が高い(100%に近いものが望ましい)
    • 光路長を一致させる為に必要
  • 撮影シーンの明るさに応じて調光セルの配置を変更
    • 低照度時は透明部のみを用いる
    • 高照度時は液晶部のみを用いる
最大透過率と最小透過率の組み合わせ

横軸は最大透過率、縦軸は最小透過率

ソニーの特許

特許の要は、液晶による光量調整そのものではなく、低照度時に液晶を外しても光路長を変化させない工夫です。 液晶は低照度時には不利になりますし、不利にならぬよう最大透過率を90にした場合は下限が45%となり、調整の幅が僅か1段になってしまうのです。

日中屋外で開放F値を使いたい

仮に、最大透過量を50%、 最小透過量を0.5%に設定した時、液晶部だけでlog2(50/0.5)=6.64EVの調整幅を持つことが可能になります。 光透過率100%の透明部を加えて、7と2/3EV分の調整幅になりますね。

例えば適正露出が「ISO100 F1.4 1/16000秒」だった時、殆どのカメラでは絞る以外に撮影する手段が無いのです。 最低ISO感度がISO200、シャッター上限が1/4000秒と仮定すると「ISO200 F4.0 1/4000秒」でしょうか。 しかしこの特許を使えば「ISO200 F1.4 1/160秒」で適正露出を得ることが可能になります。 NDフィルタ等を用意しなくても、日中屋外で開放F値を使えるようになりますね。

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Fujifilm 位相差検出画素を大口径化する特許

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富士フイルムが像面位相差AFに使われる位相差検出画素の開口を広くする特許を出願中です。 隣接する位相差検出画素を共通して使うことで感度の低下を防ぐので、低照度下でも正確な像面位相差AFを行えるようになるかもしれませんね。

patent
富士フイルムの特許 既存の位相差検出画素
Fujifilm Imaging surface phase detection AF Imaging surface phase detection AF
隣接する開口を共通で1つの開口として扱うことで、低照度下でも有利 位相差検出画素の開口が狭く、低照度下で不利

特許文献、及び要約・自己解釈

  • 特許公開番号 2012-211942
    • 公開日 2012.11.1
    • 出願日 2011.3.30
  • 通常の画素
    • 開口が広い
  • 位相差検出画素
    • 開口が狭い
    • 画素を中心に、遮光膜を反対方向に偏心させる
    • 視差を良好に得る為に、小さくしなければならない
    • 通常の画素よりも小さくしなければならない
  • マイクロレンズ
    • 集光点は、入射光の波長以下に小さく出来ない
    • ある一定以上小さくなると、集光点が遮光膜でケラれる
    • ケラレが発生すると感度が低下し、低照度時にAF精度が得られない
  • 富士フイルムの特許
    • 隣接する2つの開口を共通で、1つの開口として使う
    • 2つの開口は平行四辺形だが、鋭角を切り落として設計すれば、製造が安定する
Imaging surface phase detection AF

像面位相差AFの原理。 位相差検出画素のペアを水平方向に並べた時、ある一方向に遮光膜が偏心した画素から得られる信号と、反対方向に遮光膜が偏心した画素から得られる信号は、水平方向にずれた同一波形となり、このズレ量が位相差量であり視差である。 ズレ量から距離が求まる。

感度で不利な位相差検出画素

Nikon1等の像面位相差AF機は低照度下でコントラストAFに切り替わるようですが、特許文献で挙げられているような、位相差検出画素の感度が弱いが為に、AF精度を得られない問題を抱えているのでしょう。

富士フイルムの特許は、隣接する2つの開口を共通で使うもので、スポット光のケラれを解消出来るようです。 低照度時だけでなく、F値の明るい大口径レンズを使用した場合も有利になりそうですね。

富士フイルムは他社に先駆けて像面位相差AFを製品化したのですから、X-Pro1をはじめとするXシリーズでも像面位相差AFを採用する等、改善を進めてほしいものですね。

Canon ファインダー像を階段形状のマイクロレンズによって見易くする特許

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キヤノンが明るさと容易なピント合わせを備えたファインダースクリーンの特許を出願中です。 階段状のマイクロレンズを配置し、高さ、径、反射防止膜を最適化することで、この効果を実現するようです。 一眼レフの歴史は終焉どことか、まだまだ進歩するようですね。

micro-lens
2012_215635_fig03.png 2012_215635_fig05.png
top view lateral view

特許文献、及び要約・自己解釈

  • 特許公開番号 2012-215635
    • 公開日 2012.11.8
    • 出願日 2011.3.31
  • スクリーンマット(焦点板)
    • 高い拡散性が求められている
      • 拡散性を高めると暗くなる
  • 明るいファインダーが求められている
  • キヤノンの特許
    • 複数のマイクロレンズ(単位ユニット)を二次元的に配置したスクリーンマット
    • マイクロレンズは中央部が最も高い6段以上の階段形状
    • マイクロレンズの配置ピッチ
      • 5μmよりも短いと、回折による拡散の角度が大きくなり、暗くなる
      • 30μmより長いと、粗いファインダー像になる
    • マイクロレンズのFno.と撮影レンズのFno.を一致させるとピント合わせし易い
      • マイクロレンズのFno. = マイクロレンズの焦点距離f / マイクロレンズの径D
  • 視野率100%だけに注目しないで

    一眼レフのファインダーというと視野率ばかり注目されがちですが、ファインダー倍率やピントの合わせ易さ、明るさ等も重要な項目です。 キヤノンの特許は撮像素子のマイクロレンズ構造をファインダースクリーンに応用したもので、高さ、径、反射防止膜等の最適化を行い、明るさやピントの合わせ易さの改善を行うというものです。 マイクロレンズのF値依存性があるようで、全てのレンズに最適化することは難しいと思われ、最大公約数的にパラメータを決定するのでしょう。

    殆どのユーザーはAFで撮影を行い、MFを使う場合はライブビューで拡大すると思うので、ファインダースクリーンの良し悪しは重要ではないかもしれません。 ごく少数の、光学ファインダーでMFを行うユーザーにとって有用な特許ですね。

    キヤノン EOS-1DXのAFの特許

    以前紹介した特開2010-60771が、分割出願されていました。 特開2012-215900で、出願日が2012.6.29で、公開日が2012.11.8です。 EOS1DXの発売日が2012.6.20なので、相当忙しかったのでしょうね。

    【追記】今時誰も興味を持たないだろうなぁ、と思って記事を手短にまとめたのですが、意外に反響があって嬉しかったです。

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    Nikon 旧レンズと最新ボディの組み合わせで高精度なAFを行う特許

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    ニコンがピント精度の良くないレンズを、必要とされるピント精度の高いカメラボディに装着した場合でも、精度の高いピントを得られる特許を出願中です。 高精度なAFを行うマウントアダプタを別途用意することでこの問題を解決するようです。 フィルム時代のAFニッコールを、マウントアダプタを介してNikon1に装着した場合でも、ピント精度に困ることがなくなるかもしれませんね。

    FX Nikkor + Mount-Adapter + Nikon1

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-215769
      • 公開日 2012.11.8
      • 出願日 2011.4.1
    • 要求されるピント精度の高いカメラボディと、ピント精度の良くないレンズの組み合わせでは、ピントの合った画像を得ることが出来ない
    • マウントアダプタ内にピント調節機構を設ける
    • レンズのピント調節機構がピント精度を満たせない場合、アダプタのピント調節機構を用いる

    7000万本を達成したNIKKORレンズ

    半年位前、NIKKORレンズの累計生産本数が7000万本を達成したそうです。 ニコンは達成の報告だけを行い、その理由や推測については述べていないので、そのニュースをどう捉えるかはユーザー次第です。

    18-55mmばかり大量にあっても仕方が無いのですが、本数が出ているということは、間接的に中古市場の玉数を増やすということでもあります。 新たにマウントを構築する時、一度に広角から望遠、更にアクセサリー類まで揃えるのは金銭的に大変です。 中古の玉数が豊富ならば、先ず必要な画角やF値を中古で安価に揃え、少しずつ新品に切り替えていくことが、やり易くなります。 旅行用に安いレンズを調達しても良いですね。

    ニコンの特許

    最新カメラを購入し、レンズを中古市場から調達しても、満たせるスペックは画角やF値だけで、収差等の性能とAF精度は最新カメラに見合わないかもしれません。 AF精度が良くないが為に、良い評価を与えられないレンズもあるでしょう。 絞った方が性能を出し易い理由には、収差の低減だけでなく、要求されるAF精度が低くなるのもあります(但し絞りによる焦点移動の無いレンズに限る)。

    ニコンは具体的な製品名や規格を示しているわけではないですが、FマウントのレンズをNikon1に装着したケースを想定しているようです。 特許の仕組みは、 オリンパスのコントラストAFに対応したマウントアダプタM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 MacroのAF高速化の工夫 と似ています。 精度の高いAFを行う為に、ピント調節の可能な専用の光学系を設けるわけです。

    AF精度が悪くて性能を発揮出来なかったり、AF速度が遅くて被写体を追えなくては元も子もありません。 レンズの話となるとF値や収差が多く取り上げられますが、AF精度やAF速度のバランスも考えて、レンズを選択する必要がありそうですね。

    以下のパラグラフは特許とは関係無い話です。

    ピント精度とフォーカスの繰り出し量

    銀塩フィルム時代の許容錯乱円δ=33μmと一説には言われています。 デジタルだと機種によって異なるものの画素ピッチ5μm前後が殆どですから、要求される精度はずっと高いわけです。

    特許文献によるとニコンは画素ピッチを基準とした許容錯乱円の考え方はあまりないようで、撮像素子サイズを基準としているようです。 Nikon1マウントはFマウントよりも撮像素子サイズが小さい為、より精度の高いピントが必要になるという理論です。 撮像素子の画素ピッチが変わる度にレンズ設計を一新するのは大変なので、ピクセル等倍ではなくセンサー等倍という考え方は当然のことかもしれませんね。 ということは中古レンズに限った話ではないのか…。 良吉さんによると、あるメーカーは許容錯乱円δ=10μm固定なんだとか。

    AFに限った話だけではなく、MFレンズにも同じことが言えます。 例えばコシナF0.95シリーズは、使っていてフォーカスリングの回転角が少な過ぎるように思います。 ピントが合っていないことは分かるのですが、行き過ぎ戻り過ぎになってしまい、ピントを合わせることも出来ないのです。 で、計算してみたら…

    • 焦点深度 = 0.95 x 10μm = 0.0095mm (δは良吉さんの話を元に)
    • 繰り出し量 = 25mm x 0.25 = 6.25mm (焦点距離 f=25mm、最大撮影倍率 β=0.25の場合)
    • 1度あたりの焦点移動量 = 6.25mm / 360 = 0.017mm (実際の回転角は360度に満たないのですが書き易いので)
    • 焦点深度 0.0095mm

    フォーカスリングを1度回しただけでピントがずれますね。 1600万画素のμ4/3機なら0.5度でもずれます(δを、画素ピッチ3.8μmの2倍に見積もっても僅か7.6μm)。 この問題を低減するには、寄れなくする、フォーカスリングの回転角を2周以上にする、F値を暗くする等がありますが、それをやる位なら今のままで良いかなぁと思います。 元々ピント精度の高さを謳ったレンズではないので仕方が無いでしょう。

    これはマクロレンズにも同じことが言えます。 今に始まった話ではありませんが、フォーカスリングの回転角を近距離に多く割り当てており、近距離のMFはやり易いですが、遠景のMFは非マクロレンズに劣りますね。

    これからのフォーカスリング

    精度の高いフォーカシングを行う為に最適化されたファインダースクリーンの使用やライブビュー拡大MFを行っても、フォーカスリングの回転角当たりの繰り出し量が粗くては、全く無意味なのです。 画素ピッチの狭いカメラで高いピント精度を得る為に、電子リング(パワーフォーカス)とピント送り量可変のレンズが、今後の主流になるでしょうね。

    しかしEF85/1.2Lやミラーレス用レンズのように、電源を入れないとフォーカシング出来ないレンズは落ち着かないものです。 高級路線ではKOWA PROMINAR 500mm F5.6FLのようなデュアルフォーカス(速度優先フォーカスリングと精度優先フォーカスリングが設けられている)をメカ的に組み込むことで、ピント送り量の問題を解決してほしいものですね。

    Nikon 55-300mm F2.8-4 (2012-212087)の特許

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    ニコン55-300mm F2.8-4特許を出願中です。 テレ側F値がF4ながら、約5.5倍と幅広いズーム域を誇る望遠ズームレンズです。 FXフォーマットに対応するので、フルサイズ機の高級望遠ズームとして定番になりそうですね。

    AF-S Nikkor 55-300mm F2.8-4G VR ED

    patent: 55-300mm f/2.8-4

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-212087
      • 公開日 2012.11.1
      • 出願日 2011.3.31
      • 関連 2012-212088
    • 実施例1
      • 変倍比 5.17
      • 焦点距離 f=56.50 - 105.00 - 292.00mm
      • Fno.= 2.88 - 3.40 - 4.12
      • 画角 2ω=43.34 - 23.13 - 8.35°
      • 像高 Y=21.60mm
      • 全長 248.90 - 267.80 - 288.60mm
      • BF= 38.47 - 52.49 - 62.51mm
      • レンズ構成 17群22枚
      • EDガラス 5枚
      • 正負正正の4群ズーム
      • インナーフォーカス (第3群がフォーカシング用)
      • インナーズームではない
      • 防振機構 (第4群の一部)
    performance
    wide tele
    AF-S Nikkor 55-300mm F2.8-4G VR ED AF-S Nikkor 55-300mm F2.8-4G VR ED AF-S Nikkor 55-300mm F2.8-4G VR ED

    左から、球面収差、非点収差、歪曲、コマ収差、下は倍率色収差

    3本はスペックの一部が300mm F4

    少なくともスペックの一部が300mm F4のレンズは、3本あるようですね。 他2本は、300mm F4単焦点と、100-300mm F4のコンスタントF値です。 55-300mmは以前も特許出願されていたので「またか」と思われるかもしれません。 特許公開だけは頻繁にある80-400mmを彷彿とさせます。

    当Blogの読者には改めて説明する必要もないのですが、特許公開の後に製品発表されるレンズは意外に多いのです。 18-300mm F3.5-5.624-85mm F3.5-4.570-200mm F432mm F1.2

    FX50/1.8やDX40/2.8は鏡筒の流用で開発期間の短縮やコストダウンが可能かもしれませんが、手ぶれ補正対応の望遠ズームレンズは構造が複雑そうなので、最適化の為に時間がかかるのでしょう。 3種類の内、市場のニーズを踏まえた1本が投入されることもあるかもしれませんね。


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    Canon 12-28mm F2-3.2(4/3")の特許

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    キヤノンが14-28mm F1.8-2.8、12-28mm F2-3.2、14-28mm F1.4-2.4の特許を出願中です。 4/3"の撮像素子に対応し、35mm判換算28-56mm、或いは24-56mm相当のズームレンズとなります。 4/3"の撮像素子を使いながらも、μ4/3には対応させずレンズ一体型とすれば、性能・大きさのバランスに秀でたカメラを実現出来そうですね。

    2012_226042_fig05.png

    patent: 12-28mm f/2-3.2

    2012_226042_fig07.png

    patent: 14-28mm f/1.4-2.4

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-226042
      • 公開日 2012.11.15
      • 出願日 2011.4.18
    • 実施例1
      • ズーム比 2.37
      • 焦点距離 f=14.20 - 33.60 - 28.74mm
      • Fno.= 1.80 - 3.30 - 2.93
      • 半画角 ω=37.13 - 17.74 - 20.51deg.
      • 像高 10.75mm
      • レンズ全長 77.26 - 77.74 - 75.24mm
      • BF 1.46mm
      • レンズ構成 10群11枚
      • 非球面 4面3枚
    • 実施例3
      • ズーム比 2.72
      • 焦点距離 f=12.36 - 33.60 - 28.53mm
      • Fno.= 2.06 - 3.60 - 3.26
      • 半画角 ω=41.01 - 17.74 - 20.65deg.
      • 像高 10.75mm
      • レンズ全長 82.03 - 82.29 - 79.22mm
      • BF 1.21mm
      • レンズ構成 8群8枚
      • 非球面 7面4枚
    • 実施例4
      • ズーム比 2.37
      • 焦点距離 f=14.20 - 33.60 - 28.74mm
      • Fno.= 1.40 - 2.71 - 2.39
      • 半画角 ω=37.13 - 17.74 - 20.51deg.
      • 像高 10.75mm
      • レンズ全長 79.63 - 80.53 - 77.94mm
      • BF 1.51mm
      • レンズ構成 9群10枚
      • 非球面 4面3枚

    必要な画角と最小最軽量

    Panasonic LX3は1/1.63"の撮像素子で、5.1-12.8mm F2-2.8(換算24-60mm)です。 Fujifilm Natura Classicaはフルサイズで、28-56mm F2.8-5.4(換算28-56mm)です。 そして特許は、換算28-56mmや24-56mmとなります。 ズーム率を無理に上げるよりも使用頻度の高い画角域に特化させた方が良いですね。

    4/3"とレンズ非交換

    もし4/3"の撮像素子を使ったコンデジが登場したら波紋を呼ぶでしょう。 キヤノンの出願にはレンズ交換用とは思えない18-45mm F3.5-5.6の特許もあるので、RX100カテゴリ(1"以上の撮像素子、レンズ非交換)を重要視しているのかもしれませんね。

    • RX100カテゴリに選択肢が増える
    • μ4/3のコンデジに対するメリット(画質、レンズ交換)が、レンズ交換だけになる
    • キヤノンのミラーレスEOS-M(APS-C)に対する下克上は無し

    しかし特許のレンズでコンデジを作った場合、ポケットに入れるには少々大きい気もしますね。 因みに実施例1ではバックフォーカスが1.46mmですが、これはIRCFやOLPFから撮像素子までの距離で、我々ユーザーが想像するバックフォーカスはもう少し長いです(μ4/3に使うのは無理だと思います)。

    性能

    performance
    wide tele
    12-28mm F2-3.2 2012_226042_fig06a.png 2012_226042_fig06b.png
    14-28mm F1.4-2.4 2012_226042_fig08a.png 2012_226042_fig08b.png

    左から、球面収差、非点収差、歪曲、倍率色収差

    コンデジ(1/1.7"や1/2.3"等)の光学系をスケールアップしたような設計で相当な無理が散見されます。 四隅の非点収差は目も当てられないですね。 歪曲は12-28mm F2-3.2が14%、14-28mm F1.4-2.4が21%なので、ソフト補正すると、画質の劣化も相当なものになるでしょう。 とはいえ球面収差、非点収差ともに大体±0.1mmに収まっていて一般用途では画質に困らないと思われるので、撮像素子の素性に間違いが無ければ、販売数は相当なものになるでしょうね。

    Leica DG Summilux 25mm F1.4 ASPH. の特許

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    パナソニック25mm F1.4特許を出願中です。 μ4/3のSummilux 25mm F1.4のベースになった設計と思われ、画質とAF速度の両立を図った設計が行われているようです。 また派生モデルとして、 30mm 12mm 16mm 50mm 26mm(いずれもF1.8) があるようで、発売を期待したいところですね。

    Leica DG Summilux 25mm F1.4 ASPH.

    patent: 25mm f/1.4

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-226309
      • 公開日 2012.11.15
      • 出願日 2011.4.7
    • 実施例
      embodiment
      焦点距離 Fno 半画角 像高 レンズ全長 BF
      1 25.6692 1.44319 22.9335 10.8150 60.5607 18.03332
      2 30.0362 1.85425 19.4978 10.8150 55.0786 18.40474
      3 12.2982 1.85546 41.3302 9.6300 71.7778 16.55704
      4 16.4891 1.85519 33.2665 9.8700 71.9424 17.30921
      5 50.0000 1.85406 12.0593 10.8150 85.9781 25.61839
      6 26.2626 1.85576 22.9788 10.8150 56.6628 19.84693
    • パナソニックの特許
      • 正負正の3群構成
      • インナーフォーカス (第2群がフォーカス用)
      • AF高速化
        • 第2群の径を小型化
      • 第3群によって、射出瞳位置を像面から離し、入射角を有利にする

    換算50mm前後における、数少ないインナーフォーカス

    換算50mm前後のレンズは「画質に拘って繰り出し式を採用しました」という類のものが多いです。 ミラーレスだとリコーGXR33mm F2.5Macro、シグマDP2Merrill 30mm F2.8富士フイルムXF35mm F1.4R等。 そして忘れてはいけないのがG20mm F1.7ですね。

    繰り出し式は基本的に収差変動が少なくて、レンズの特性を出し易いのですけど、遅いAFが欠点です。 先に挙げた3社は少なからず画質への拘りがあるので、繰り出し式を採用してでもAF速度を蔑ろにする必要があります。 特にシグマは、DPレンズを受け継いだとされる30mm F2.8EX DN(NEXμ4/3用)がインナーフォーカスなのに対し、本家のDP2Mは繰り出し式ですから、その考えが顕著なのだと思います。

    ところでDP MerrillってAF精度が恐ろしく高いのですね。 元々解像が良いことや背面液晶のDPI(dot per inch)が細かいことも、そう感じさせる要因だと思いますが、合焦した画像を見るとキレの良さにビックリします。

    先に挙げた3社は画質に拘るユーザーを相手に商売すれば無問題です。 しかしパナソニックは世界を相手に売り込みたいでしょうから、そういうわけにはいきません。 ユーザーから「G20/1.7のAFが遅い」と散々言われ続けたのでしょう。 Summiluxではめでたくインナーフォーカスとなりました。 否、動画対応の為に元々インナーフォーカスかリアフォーカスを考えていたのかもしれません。

    Leica DG Summilux 25mm F1.4 ASPH.

    左から球面収差、非点収差、歪曲

    性能

    銀塩フイルム時代では考えられないズバ抜けた性能だと思います。 周辺から四隅も球面収差、非点収差ともにワーストで-0.05mm程度ですから、並の単焦点よりもずっと良いですね。

    但しμ4/3は画素ピッチが狭い分、周辺は相対的に並の単焦点程度になり、最高の性能を出す為には絞った方が良いと感じられるかもしれませんね。 中心から四隅まで、同じ量の軸上色収差があるのも気になりますね。倍率色収差は不明です。 歪曲は-0.5%と、このスペックにしては小さい方で、μ4/3はソフト補正が前提の光学設計というイメージを払拭出来るかもしれませんね(それをメーカーが望んでいるか、ユーザーが本心から望んでいるかどうかは別として)。

    後端に正レンズを置いて射出瞳位置を撮像素子から離す光学設計は、ミラーレス時代では当たり前になりましたね。 数値データが同じでも、こういった工夫を施すことで色付きを抑えられるでしょう。

    後で気付きましたが、特許の25mm F1.4と、実際の25mm F1.4は光学系が少し違いますね。 性能の質も実際は少し違うかもしれません。

    今後のロードマップ

    特許文献には25mm F1.4以外に数多くの実施例があるようです。 パナソニックにはフルサイズでメジャーな画角である焦点距離を企画する傾向があるので、 12mm F1.8(換算24mm) 50mm F1.8(換算100mm) 26mm F1.8(換算約50mm) 辺りは商品化されても違和感ないでしょう。 25mm F1.4の発売から時間が経過しているので他の実施例はボツ案でしょうが、開発中の42.5mm F1.2150mm F2.8以外にも単焦点があると良いですね。

    Nikon 58mm F1.2 の特許

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    ニコン58mm F1.2特許を出願中です。 最も物体側のレンズ、すなわち第1面を非球面とすることでサジタルコマフレアを補正したAi Noct-Nikkor 58mm F1.2Sと同様の構成を採ったレンズです。 ノクトは1997年に販売終了となりましたが、デジタルに最適化されて復活するのかもしれませんね。

    AF-S Noct-Nikkor 58mm F1.2G

    patent: 58mm f/1.2

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-230133、2012-230340
      • 公開日 2012.11.22
      • 出願日 2011.4.11
    • 実施例1
      • 焦点距離 f=58.0220mm
      • Fno. 1.210
      • 半画角 ω=20.81°
      • 像高 21.6mm
      • 全長 108.8935mm
      • BF 38.0120mm
      • レンズ構成 7群9枚
      • 非球面 2面2枚
    • 従来のガウス型レンズはコマ収差、サジタルコマ収差の補正が不十分
    • 基本的な構成はガウス型やクセノター型に使われる正負負正
    • 正の屈折力を持つ前群 + 絞り + 正の屈折力を持つ後群
    • 非球面を前群と後群に1面ずつ配置することで、球面収差、サジタルコマ収差、メリジオナルコマ収差を補正
    • 全体繰り出し

    性能

    performance
    球面収差、非点収差、歪曲、倍率色収差 サジタルコマ収差
    AF-S Noct-Nikkor 58mm F1.2G AF-S Noct-Nikkor 58mm F1.2G

    球面収差、非点収差ともに中心から+0.1mm程度あって、解像はあまり高くなさそうです。 しかし四隅を除ければ中心から周辺まで概ね均一の画質なので、星野写真では好まれるかもしれませんね。 またレンズは解像だけでなく、階調や色再現性、コントラストも重要な性能ですから、もし製品化されるとすればバランスを重視したものになるでしょう。 歪曲は-2%程度。

    しかし全体繰り出しですか。 明るくないレンズなら繰り出し式で良いですが、大口径で繰り出し式だと近接性能にかなり無理がくるんじゃないかと思います。

    第1面が非球面

    ノクトニッコールについては今更説明するまでもないでしょう。

    Noct-Nikkor(Nikon)、Nokton(Voigtlander)、Noctilux(Leica)といった名前を見れば、メーカーの思惑は、大口径によるBokehよりも、夜景撮影であることを読み取れるかと思います。 明るいだけなら過去に50mm F1.2の特許出願がありますが、明るいだけのレンズよりも、何らかの付加価値が欲しいものです。 今回の特許出願はノクトに近い設計思想を取り入れたので、夜間撮影でシャッター速度を稼げるだけでなく、点光源等の点像の撮影でも効果を発揮しそうですね。 特許出願だけですが、20mm F1.8/18mm F1.8もまたサジタルコマ収差の補正に力を入れていました。

    ニコンF1.4シリーズの開発が一段落したので、現在は28mm F1.8等のF1.8シリーズ70-200mm F4等のF4シリーズを展開しているようです。 もし次のシリーズをF1.2にしてしまうと、現実的に設計可能なレンズが限られてしまうので、早晩ネタ切れになります。 そこでNoctシリーズとして、18mm F1.828mm F1.458mm F1.2等をラインナップしたら面白そうですね。

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    Olympus AFと防振に対応したマウントアダプタの特許

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    オリンパスAF手ぶれ補正機構を組み込んだマウントアダプタ特許を出願中です。 これによりμ4/3ボディで4/3(≠μ4/3)レンズを使用した場合でも、高速なAFを実現可能で、しかもレンズ内手ぶれ補正にも対応します。 ライブビュー、動画、望遠ではレンズ内手ぶれ補正が有利なので、μ4/3でも本格的な野鳥・スポーツ撮影が可能になるかもしれませんね。

    Olympus Mount Adapter 4/3 to u4/3

    patent: 4/3 to u4/3 Mount Adapter

    Olympus Actuator

    patent: Actuator

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-230323
      • 公開日 2012.11.22
      • 出願日 2011.4.27
    • 従来の技術では、薄型化した電磁駆動機構や、吸着力の強い圧電素子駆動機構が難しい
    • オリンパスの特許
      • レンズ外周に磁性部材、その外側に異極接合磁石、更に外側に第2の磁性部材を配置し、吸着力を確保
      • マスターレンズの外径よりも、マウントアダプタの外径を大きくして周辺光量確保
      • 光学的な倍率はほぼ1倍
      • XYガイド軸を設け、XY方向のブレを低減
    Olympus Optical Anti Shake

    patent: Stabilizer

    大口径の4/3レンズに対応

    小型化の為にマウントアダプタの径を小さく設計すると、マスターレンズが大口径である場合にケラれる可能性があります。 例えばLeica D Summilux 25/1.4ですね(特許文献に具体的な径は書かれていないので、何処まで対応出来るか不明です)。 それを回避する為には、マウントアダプタ内レンズの径を大きくしなければなりません。 そうすると小さなアクチュエータでは径の大きなレンズを動かすことが出来ず、結果としてマウントアダプタが肥大化してしまいます。

    オリンパスの特許は圧電素子(ピエゾ素子とも。超音波モータにも使われていますね)の高効率化です。 レンズの小型化が出来ないので、製品としてのマウントアダプタそのものは大きいのですが、アクチュエータ関係の部品を大型化する必要が無いので、技術的には優れた製品になりますね。

    マウントアダプタ内にAF機構を組み込んだ特許は過去にも出願されていますが、今回の出願では防振機構が新たに加わったようです。 防振機構を組み込んだテレコンバーターの特許なら他のメーカーが出願していました。

    オリンパスもレンズ内手ぶれ補正へ移行か

    一眼レフ時代、ボディ内手ぶれ補正のデメリットとして、レンズ毎に最適化出来ないことや、ファインダーで確認出来ないこと等が挙げられていました。 ミラーレス時代は背面LCDやEVFを問わず常時ライブビューなので、ボディ内手ぶれ補正のデメリットである熱問題を無視することが出来なくなってきたのでしょう。

    孫氏曰く「兵は拙速を尊ぶ、未だ巧みの遅きを聞かざるなり」

    オリンパスは、高速AF対応マウントアダプタを出すのは1回だけと考えているのでしょう。 それで4/3ユーザーへの責任を果たせますし、開発リソースはμ4/3の方に割きたい筈です。 それが足枷になっているのかもしれませんね。

    • フィクションです
    • 社員A「こういうアダプタはどうでしょうか。」
    • 幹部A「じゃあそれで。言っておくが1回だけだぞ。」
    • 社員B「待って下さい。それだと当社のレンズは問題ありませんが、P社やS社のF1.4レンズでケラれてしまいます。」
    • 幹部B「仕方が無い。開発期間を延長しよう。」
    • -
    • 社員B「少し大きいですが、これならF1.4に対応出来ます。」
    • 社員A「最近、オーバーヒートの記事が話題になっているなぁ。」
    • 社員C「後継機は無いから、防振機構も全部詰め込んでしまおうか。」
    • 幹部A「おいおい、次が最後だぞ。これ以上の延長は無いからな。」
    • -
    • 広報A「4/3ユーザーさん、高速AFと防振に対応したマウントアダプタを発売しますよ。」
    • ユーザーA「え? 他マウントでシステムを構築し直したからもういらないよ。4/3は下取りに出したからね。」
    • フィクションです

    さて、孫氏の生涯は謎が多いのですが、古代中国の天才的な戦略家とされています。 戦争も商売も基本は一緒で、先の言葉を置き換えると「未完製品でも先に出したもん勝ち」です。 それがユーザーの囲い込みを出来るか(国を長く治められる)どうかは別ですが、あまりに悪くない限り、買い換える(国が滅ぶ)こともないでしょう。 カタログにも「世界初」と書き易くなります。

    だらだら開発を続けても良いことは何も無く、バッテリー燃費が良いとは言えなくともフルサイズミラーレスを発売したソニーや地図問題を解決せずにiPhone5を発売したアップルの方が、商売的には正解です。 他のメーカーがフルサイズミラーレスを先に出せばソニーは二番煎じになりますし、アップルはスティーブ氏亡き後も勢い衰えずという印象付けも必要だったでしょう。

    オリンパスは上述したこと百も承知でしょうが、教養が深いだけでは何の意味も成しません。 兵法の定説は理解しているけど、技術的な課題を解決出来ずにいるだけ、特許絡みで製品化出来ない、元々製品化する気が無い、或いは誰も言い出せずにいた等、様々な要因が考えられます。 ユーザーが欲するのは言い訳ではなくて製品なのですから、解決の糸口を探し当てて欲しいものですね。

    【追記】 本音を申しますと、MMF-1/MMF-2を出した時点でユーザーへの責任は果たしたと思います。 4/3はシステムとしては一通り揃っていますし、後は部品等を一定期間保有し、修理等に備えれば良いです。 μ4/3が出たからといって4/3が使えなくなるわけではありませんし、4/3レンズを4/3ボディで使う限りAF性能は従来通り保障されます。 以上、一度も4/3ユーザーでなかった外野の意見でした。

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    Nikon ローリングシャッタの横線状パターンノイズを抑制する特許

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    ニコンがローリングシャッタに発生する横線状パターンノイズを抑制する制御方法の特許を出願中です。 ローリングシャッタは電子シャッタの一種で、一眼レフやミラーレスの動画やライブビュー、無音撮影モードで使われています。 無音撮影モードが増えているのは、こうした技術背景によって、実現可能になったからでしょう。

    Nikon ローリングシャッタの横線状パターンノイズを抑制する特許

    patent: ダミーリセットを行い、電源電圧を安定させる

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-231397
      • 公開日 2012.11.22
      • 出願日 2011.4.27
    • CMOSのローリングシャッタ
      • 行毎に、リセットと読み出しを順次行う
      • 順次行われる為、全行読み出しの途中で、最後の行のリセットが行われる
      • 全行リセットの終了では、電圧の変動がある
      • ローリングシャッタでは、読み出し途中で、電圧が変動することで、横線状のパターンノイズが発生する
    • ニコンの特許
      • ダミーリセットを設け、常に何処かの行がリセットされるようにし、またその行数を一定にする

    シャッタの分類

    シャッタだからといって、物理的に何かが開閉しているわけではありません。 画素のリセットと露光、そして読み出しといった一連の電気的な流れがシャッタと呼ばれているのですね。

    電子シャッタ・メカシャッタというと、銀塩フイルムの頃によくあった、どっちが優秀か論を思い出します。 電池で動くか動かないかが大きなポイントとされていて、デジタルから見ればどちらもメカシャッタの一種ですね。 表にまとめましたのでご覧下さい。

    シャッタの分類
    電子シャッタ メカシャッタ
    ローリングシャッタ グローバルシャッタ 電子制御式メカシャッタ 機械制御式メカシャッタ
    撮像素子を行毎に露光していく為、動き物で歪みが発生。一眼レフやミラーレス等の動画やライブビュー、無音撮影モードで使われる。 全画素同時に露光する方式。信号値を保持する回路を設ける必要がある為、コストや高感度で不利。採用実績は業務用やSony PMW-F55等。 一眼レフやミラーレス等に使われているフォーカルプレーンシャッタやレンズシャッタのこと。 一眼レフやRF等の、フォーカルプレーンシャッタやレンズシャッタ。銀塩フイルム時代によく使われ、電池がなくても動作するカメラを実現可能。

    ニコンの特許

    ローリングシャッタでは画素のリセット、露光、読み出しといった一連の処理が並行して行われていてます。 ある行をリセットする時、別の行は露光中で、更に別の行では読み出しが行われています。 ところが画素のリセットが最後の行まで終わり、再び最初の行をリセットするまでの間にタイムラグがあります。 タイムラグ期間中では電源電圧が変動するので、その間に読み出された行には、横線状パターンノイズが発生するようです。

    たまに見ますけど、パニングによる影響や読み出しチャンネルの違いを疑っていました…orz

    一眼レフやミラーレスの通常の静止画撮影であれば、メカシャッタを閉じることで同期を取れるので、安定した読み出しが可能でしょう。 ところが動画やライブビューではフレームレート、無音撮影モードでは音の問題でメカシャッタを閉じることが出来ませんね。

    ニコンの特許は、そのタイムラグ中にダミーリセットを入れて常に何処かの行がリセットされている状態を作り、電源電圧の変動を抑制し、結果として横線状パターンノイズを発生させない、というものです。

    一眼レフでも無音撮影時代

    条件付きではありますがニコンはD4で静音・無音撮影を実現しており、特許との関係が気になるところです。 他メーカーではリコーGXRのマウントユニットMや、パナソニックG5やGH3が電子シャッタを既に実現しています。 電子シャッタ使用時とメカシャッタ使用時の画質の違いはあるのでしょうか。

    特許を紹介したからといってメカシャッタの存在を否定するものではなく、ユーザーが選択出来れば良いと思いますね。 ローリングシャッタは、特許で抑制可能であるもののノイズのリスク、無音、無振動、最高速1/20000秒等、ストロボ同調速度1/60秒等。 FPシャッタは、安定した読み出し、響きの良い音、ブレのリスク、最高速1/8000秒等、ストロボ同調速度1/250秒等。 レンズシャッタは、安定した読み出し、上品な静音、ほぼ無振動、最高速1/2000秒等、ストロボ全速同調。 それぞれにメリット・デメリットがありますから。

    デジタル時代になって写真撮影枚数が増えたと思いますが、むしろ枚数よりも機会が増えたことの方を実感している方も少なくないのではないでしょうか。 くだらないものも撮影してしまうわけですね。 そういった方々にとって、場所によってはシャッタ音が憚りますから、ほぼ無音で行えるレンズシャッタや、完全に無音の電子シャッタは大歓迎でしょう。

    知人曰く「日本人って、何かある度に写真撮りますが、どうしてですか?」

    Sigma 55mm F2.8 防振付き の特許

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    シグマ30mm F2.830mm F2.528mm F2.824mm F2.850mm F2.855mm F2.8、 の特許を出願中です。 手ぶれ補正に対応したAPS-C対応レンズです。 シグマの次期ミラーレス用レンズ、或いはDPシリーズでは手ぶれ補正の搭載を期待出来そうですね。

    Sigma 30mm F2.8EX DN OS

    patent: 30mm F2.8 OS

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-234169
      • 公開日 2012.11.29
      • 出願日 2011.4.18
    • 実施例
      実施例
      実施例焦点距離Fno画角構成非球面MODELDガラス
      130.832.8950.495群7枚 2面2枚500mm
      530.772.4750.436群8枚 2面2枚500mm
      728.772.9153.605群7枚 2面2枚500mm
      836.832.9242.875群7枚 2面2枚500mm
      924.722.9090.916群8枚 2面2枚500mm1
      1038.822.9240.965群7枚 2面2枚500mm
      1249.972.9131.297群10枚1面1枚800mm1
      1349.832.9131.377群10枚1面1枚800mm2
      1454.152.9128.996群8枚 1面1枚800mm1
    • 正正負
    • インナーフォーカス (第2群がフォーカス用)
    • 防振 (第3群)

    性能

    シグマは以前も30mmから55mmまでの光学系の特許を出願して、今回は防振に対応させたようですね。 性能はほぼ同じようですので、詳細はそちらをご覧下さい

    performance(30mm F2.8 OS)
    INF MOD
    Sigma 30mm F2.8EX DN OS Sigma 30mm F2.8EX DN OS

    収差変動の少ない設計のようで、INFとMODの性能差は極小

    performance(30mm F2.8 OS)
    通常 防振によるレンズ偏心
    Sigma 30mm F2.8EX DN OS Sigma 30mm F2.8EX DN OS

    防振が作動しレンズが偏心した時でも、横収差の変動は極小

    次期DPと、NEXμ4/3用レンズ

    シグマはDP MerrillとNEXμ4/3用に19mm F2.830mm F2.8を出しています。 これに50mm55mmが加われば、換算焦点距離で ローライフレックス(50mm/55mm75mm/80mm135mm) や ミノルタCLE(28mm40mm90mm) に近いラインナップが完成します(μ4/3は画角が異なりますが)。 防振なので手持ち撮影もし易いでしょうし、DPであればレンズシャッターなのでストロボを使ったポートレート撮影でも有用でしょうね。 防振の付いた中望遠レンズはNEXだと50mm F1.8OSS、μ4/3だとマクロ45mm F2.8OISがありますが、 シグマ55mm F2.8 OS はどのような描写を見せてくれるのでしょうか。

    記事タイトルは55mmとしましたが、50mm55mmは、シグマ30mm F2.8EX DNの防振バージョンの10以上ある実施例の1つに過ぎないのです。 Summilux DG25mm F1.4M.Zuiko12mm F2.0にも数多くの実施例がありましたが、製品化は今のところ1つだけということも最後に付け加えておきます。

    Panasonic 絞りで色分解を行う特許

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    パナソニックが、絞り部分にRGB各色のフィルタを設け、レンチキュラ等によって各画素に各分光を入射させることで、色分離を行う特許を出願中です。 この特許により、カラー画像とモノクロ画像もしくは紫外線・赤外線画像を同時に得ることが可能です。

    2012_235472_fig01.png

    特許の構成。Lは結像レンズ、Sは絞り、L1は絞り近傍のカラーフィルタ等、Kはアレイ状光学素子、Nは撮像素子

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-235472
      • 公開日 2012.11.29
      • 出願日 2011.4.22
    • 撮像素子のカラーフィルタ
      • 有機材料(顔料or染料)が使われている
      • 赤外光を通す
      • IRCFを設けなければならない
      • 可視光と赤外光を同時に取得出来ない
    • 有機材料カラーフィルタ
      • 波長帯域が広い
      • 狭い波長帯域の色情報を取得出来ない
      • RGB各フィルタは、理想帯域外にオーバーラップする為、色再現性が悪い
    • 既知の技術
      • 誘電多膜層(UV/IRCF等)を画素毎に形成することは困難で、高価になる
      • 時分割撮像方式は動体に向かない(分光特性を切り替えてもう一回撮影する)
    • 生産性の問題
      • 生産性により、撮像素子の機種毎に分光特性が統一されている
      • カメラメーカーが、撮像素子メーカーに、分光特性を指定することは困難
    • パナソニックの特許
      • マルチスペクトル画像を得る
      • マルチスペクトル画像とは、分光情報を画素毎に持つ
      • 結像レンズと撮像素子の間に、アレイ状光学素子を設ける
        • レンチキュラやマイクロレンズ等
      • アレイ状光学素子は、第1波長の光を第1画素に入射させ、第2波長の光を第2画素に入射させる
      • カラーフィルタは結像レンズの絞り表面上に設ける
        • Red、Green、Blue、Cyan、Magenta、Yellow等
        • モノクロ撮像素子でフルカラーを得られる
        • 誘電多膜層のカラーフィルタを用いて色再現性向上

    パナソニックの特許

    殆どのデジタルカメラにはUV/IRCFが設けられています。 赤外光を受光すると撮像素子の信号値が狂ってしまい、画質が劣化するのですね。

    UV/IRCFは撮像素子全体を覆う大きなフィルタですが、これは画素毎に形成することが困難であるからのようです。 従って画素毎にフィルタを変えてカラー画像と赤外画像を同時に得るカメラの実現も困難となります。

    パナソニックの特許は、結像レンズの絞り近傍にRGBやUV/IRCFを設け、撮像素子側に何らかのアレイ状光学素子を設け、分光した光を各画素に入射させることで色分離を行うというものです。 絞り近傍に設けられたフィルタをR+UV/IRCF、G+UV/IRCF、B+UV/IRCF、Wの4分割とすればカラー画像と赤外画像の同時取得です。

    4分割の例
    2012_235472_fig08.png 2012_235472_fig10b.png
    絞り近傍のカラーフィルタ例。4分割し、4種類の波長帯域を得られる。 フォトダイオードの並び。この例では4種類の波長帯域の光を得た。

    光学エフェクト不要論 vs 光学エフェクト必要論

    撮像素子が大きくなるとボケも大きくなる」とよく言われますが、経緯を省略すると読み手に誤解を与えることがあります。 所謂、撮像素子が大きくなると同じ画角を得る為には長い焦点距離が必要になってボケが大きくなるのですが、こういった何らかの誤解が論争を生みます。

    例えば、光学エフェクト不要論者の主張が「(フィルタを外せば更に画質が良くなると思うから、) 結像レンズと撮像素子の間に余計な光学エフェクトは不要。UV/IRCF外せ。」で、光学エフェクト必要論者の主張が「(フィルタを外せばある種の画質が悪化するから必要な光学エフェクトが存在する。) 嫌なら使うな。終了。」といったものでしょう。

    両者とも画質を追求したい基本的な姿勢は変わらないのに、括弧内を省略してしまうから、お互いを理解せず、衝突してしまうのですね。 双方の真意を汲み、フィルタを外しても悪影響が出ない仕組みの考案や、光学エフェクト不要論が納得するような画質の実現をすることがカメラメーカー並びに彼らエンジニアの仕事ですね。 今回の特許記事に因んで光学エフェクトを挙げましたが、何も光学エフェクトに限った話ではありません。

    このパラグラフの小タイトルは「風が吹けば桶屋が儲かる」でも良かったかもしれませんね。 当Blogも、言葉通りに受け取る方、言葉の裏にある真意を見抜く方、多種多様です。

    各部位の拡大図
    2012_235472_fig09.png 2012_235472_fig10a.png
    アレイ状光学素子の例。この例ではマイクロレンズアレイ。 受光の仕組み。Kはアレイ状光学素子、Pはフォトダイオード。

    ユーザー関心の高まる、画素数と高感度以外のスペック

    パナソニックのカメラ事業は実に幅広く、この特許は写真用ではなく、医療やセキュリティカメラ等の業務用に向けたものです。 しかし写真用カメラに転用したら大変面白いと思います。

    オリンパスのアートフィルターに端を発し、何らかのソフトウェア処理への関心が高まっていますね(アートフィルターが初ではありませんが世間の認知が高いので)。 ミニチュアライズ/ジオラマ風撮影、トイカメラ風、漫画カメラ、クロスプロセス、モノクロ等があります。

    その一方で、ハードウェアレベルで鮮烈な画質を得たいニーズは昔から多いものです。 メーカー各社の大型センサーや大口径レンズによるボケシグマの垂直色分離で偽色をなくしローパスレスで高い解像感を得られるFoveon富士フイルムのカラーフィルタ配置工夫でローパスレスながら偽色の発生し難いX-Trans CMOS、 そしてPhaseOne Achromatic+やLeica M モノクローム等のモノクロ専用センサー。

    最後に挙げたモノクロ専用センサーですが、真のモノクロ画質を得る為に、モノクロ専用のカメラを使うのは敷居高いです。 カラー画像なら彩度を落とすことで擬似的にモノクロ画像を得ることが出来ますが、その逆は非常に手間がかかるからです。

    パナソニックの特許は後者のハードウェアでの改善になります。 パナソニックの特許なら、カラー画像を得つつもピュアに近いモノクロ画像も同時に得ることが出来ます。 モノクロというのはあくまでも例で、特許文献通り赤外画像でも良いです。

    それならRGBW配列で良いじゃないかと思われるかもしれませんが、はい、その通りです。 またどちらも画素補間が必要になってしまいますね。

    写真用カメラに応用して最大限の効果を得る為に

    特許のカラーフィルタ構造に、ミノルタTC-1に使われたターレット式の円形絞りやメーカー各社の内蔵NDフィルタの仕組みを採用したら面白いでしょう。 例えばRGBとWWWの切換式にすれば(ワールド・ワイド・ウェブじゃないですよ)、同時記録では出来ませんが、カラー画像と、画素補間等の無い真のモノクロ画像を得ることが出来ます。 その他に、日中屋外等の明るい場所ではRGBフィルタ、室内や夜間等の暗い場所ではCMYフィルタを使うことで、色再現性が悪化しつつもカラーでの高感度により強いカメラを実現出来るでしょう。 また紫外線撮影用フィルタを用意すれば紫外線写真も同時に得られますから、肌の状態をマッピングし、シミ等の部分に自動でソフトフィルタをかければ、ファッション・ポートレート撮影も効率化しそうです。

    この特許の欠点として、結像レンズとカメラ側の両方に工夫が必要なので、μ4/3等のレンズ交換式カメラへの採用が難しいことが挙げられます。 使えるとすれば、レンズ非交換式です。 ハイエンドのコンデジであるLXシリーズに採用すれば、真のモノクロ画質に理解のあるプロやハイアマチュアへの訴求力も高そうです。

    Nikon 37mm F2.4 (1") マイクロレンズの特許

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    ニコン37mm F2.4マイクロレンズの特許を出願中です。 1インチの撮像素子に対応した換算100mm相当のレンズなので、ニコン1で非常に使い易そうですね。

    Nikon Micro 1Nikkor 37mm F2.4

    patent: micro 1nikkor 37mm f/2.4

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-220828
      • 公開日 2012.11.12
      • 出願日 2011.4.12
    • 実施例2
      • 焦点距離 f=37.1mm
      • Fno. 2.40
      • 画角 2ω=24.7°
      • 像高 8.18mm
      • 全長 70.20mm
      • BF 14.13mm
      • レンズ構成 10群14枚
      • 低分散ガラス 1枚
      • 最大撮影倍率 1.01倍
    • 実施例3
      • 焦点距離 f=37.10mm
      • Fno. 2.85
      • 画角 2ω=24.9°
      • 像高 8.11mm
      • 全長 68.83mm
      • BF 15.04mm
      • レンズ構成 10群14枚
      • EDガラス 1枚
      • 最大撮影倍率 1.01倍
    • 正負正負
    • インナーフォーカス (第2群と第3群がフォーカス用)

    途中までマクロレンズとタイプしていたのですが、ふとあることを思い出して置換しました。

    換算100mmを最初に決めた → じゃあ37mmで設計しよう

    37mmというと中途半端感が否めません。 35mmもしくは40mmを名乗るにせよ誤差5%を超えてしまいます。 しかし2.7倍に換算するとほぼ100mmなので、これなら程よいでしょうか。 フルサイズでメジャーだった焦点距離に拘る必要もありませんが、避ける理由もないですね。

    ニコンのこの近辺のレンズは105mmが多いので、ニコン100mmって珍しいですね。 Nikkor-W 100mm F5.6やSeries-E 100mm F2.8等、幾つかありましたが。

    性能 (37mm F2.4)

    performance
    INF β=-0.5 β=-1.0
    Nikon Micro 1Nikkor 37mm F2.4 Nikon Micro 1Nikkor 37mm F2.4 Nikon Micro 1Nikkor 37mm F2.4

    現代のマクロとしてはオーソドックスな光学設計ですね。 球面収差、非点収差とも中心に貼りついておらず残存収差が見られるので、解像第一のレンズではないのかもしれません。 Nikon1のレンズラインナップはまだ少ないので、40mm F2.8や60mm F3.8のマイクロレンズ、或いは今回のレンズの登場が望まれます。

    Sony 湾曲した撮像素子に対応したレンズの特許

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    ソニーが湾曲した撮像素子と対応レンズを組み合わせることで、歪曲を相殺する特許を出願中です。 レンズは糸巻型の歪曲を残すことで小型化を実現したようです。 レンズ単体では更なる小型化や高性能化が困難なので、既に収差のソフトウェア補正がよく使われているように、湾曲した像面等もよく使われていくようになるのかもしれませんね。

    2012_237966_fig01.png

    patent:2.36mm f/2.8 (35mm equiv. = 35mm)

    2012_237966_fig09.png

    patent:2.62mm f/2.8 (35mm equiv. = 27mm)

    2012_237966_fig17.png

    patent:5.56mm f/2.8 (35mm equiv. = 40mm)

    2012_237966_fig21.png

    patent:1.80mm f/2.8 (35mm equiv. = 16.5mm)

    特許文献、及び要約・自己解釈

    • 特許公開番号 2012-237966
      • 公開日 2012.12.6
      • 出願日 2011.4.26
    • 実施例1
      • 焦点距離 f=2.36mm
      • Fno. 2.8
      • 画角 ω=32.0°
      • 全長 3.23mm
      • 1/6" CMOS 1.1μm 3MegaPixels
      • 35mm equiv. = 35mm
    • 実施例3
      • 焦点距離 f=2.62mm
      • Fno. 2.8
      • 画角 ω=38.2°
      • 全長 3.60mm
      • 1/5" CMOS 1.1μm 5MegaPixels
      • 35mm equiv. = 27mm
    • 実施例5
      • 焦点距離 f=5.56mm
      • Fno. 2.8
      • 画角 ω=28.9°
      • 全長 7.64mm
      • 1/4" CMOS 1.1μm 8MegaPixels
      • 35mm equiv. = 40mm
    • 実施例6
      • 焦点距離 f=1.80mm
      • Fno. 2.8
      • 画角 ω=52.5°
      • 全長 10.0mm
      • 1/4" CMOS 2.8μm 1.3MegaPixels
      • 35mm equiv. = 16.5mm
    • 1群構成のレンズ
    • 湾曲した撮像素子
    • 正の光学歪みを発生させる
      • 第1レンズ:強い正のパワー
      • 第2レンズ:弱い正か負のパワー
    • レンズによる正の光学歪みを、湾曲による負の光学歪みで打ち消す
    • ウエハーレベルオプティクス
      • レンズをウエハー上に多数個同時に作る
      • 赤外線カットフィルタと遮光絞りを施したガラス基板の上下に、レプリカプロセスを使った製造方法で多数個作る
      • レンズウエハーと、センサーウエハーをウエハー状態で接着することも可能

    湾曲した結像面は永遠のテーマ

    2012_237966_fig03.png

    性能(実施例1)

    湾曲した像面に関する特許は、 ニコンが光ファイバのようなものを使った特許パナソニックが分割露光を行う特許ソニーが熱膨張を利用した製造の特許 を過去に出願しており、各メーカーが視野に入れていることが分かります。 今回の特許では、撮像面の湾曲をさらりと説明していて、具体的な製造方法等に言及していないので、上記特許技術が必要になるのかもしれません。

    ハイエンドユーザー等はレンズ単体だけで平面上に収差の無い像を結ぶことを好みますけど、エンジニアリング的にそれはナンセンスです。 更なる小型化と高性能化を追求する為には収差のデジタル補正は勿論のこと、湾曲させた撮像面に結像させることを前提にレンズを設計し、システム全体として高バランス化を考えていく必要があるのでしょう。

    ソニーの特許では35mm判換算で35mm27mm40mm16.5mm相当になるレンズが実施例として挙げられています。 これらは携帯電話やスマートフォン、監視カメラやPCカメラ等に向けたもので、換算率が10倍近い、小さな撮像素子に対応します。

    ウエハーレベルオプティクスに関しては、一眼レフやミラーレス等の大きな撮像素子(換算率が10倍ということは面積比で100倍!)に適用することは困難でしょう。 結像面の湾曲も、入射角が有利になる等のメリットもありますが、レンズ交換式で使うことは難しいですね。 ソニーRX1等のレンズ一体式が前提ならば 結像面の湾曲や入射角の最適値を合わせ込むことが出来るので、 更なる小型化と高性能化を追求する為にも、湾曲した像面を検討してほしいものですね。

    2012_237966_fig34.png

    ウエハーレベルオプティクス

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