シグマが25mm F1.4の特許を出願中です。 4/3inchの撮像素子に対応するので、μ4/3マウントとして登場したら面白そうですね。
それとシグマのマクロ域に対応する手振れ補正の特許について。

patent: 25mm f/1.4
特許文献、及び要約・自己解釈
- 特許公開番号 2013-3324
- 公開日 2013.1.7
- 出願日 2011.6.16
- 実施例2
- 焦点距離 f=25.00mm
- Fno. 1.44
- 画角 2ω=48.61°
- レンズ構成 7群9枚
- 非球面 3面2枚
- 高屈折率ガラス(n=2.00以上) 1枚
- 負正負正の4群
- インナーフォーカス(第3群)
Leica DG Summilux 25mm F1.4 ASPH.
パナソニックも25mm F1.4の特許を出願していましたが、同時期にシグマからの出願とは驚きです。 シグマが自社ブランドの19/2.8と30/2.8EX DNを出す前に、何らかのOEMに携わっていた可能性は高いですね。 タムロンの場合は共同出願で決定的な証拠に成り得るのですが、シグマの場合は単独出願です。 OEMだと決め付けるのもどうかと思うので、少し冷静に。
Summilux25/1.4がシグマ製である2つの理由
- レンズ構成が一致
レンズ構成が一致しています。 非球面の位置、枚数も完全一致です。 超高屈折率UHRレンズの位置には、特許文献では屈折率n=2.00という超高屈折率ガラスが使われています。 因みにパナソニックの特許の25mm F1.4は実際の製品と光学系が少し異なります。
但し最適化を行えばどのメーカーも似た構成になるもので、証拠には成り得ませんね。 高速なAFを前提としたミラーレスの大口径レンズなら「ガウス+フォーカス群+補正レンズ」が十中八九採用されるでしょう。 ここまで一致するのは偶然にしては出来過ぎていますけど。
- 開発時期が一致
- 2011/4 パナソニックが25mm F1.4を特許出願
- 2011/6 パナソニックがSummilux 25mm F1.4を発表
- 2011/6 シグマが25mm F1.4を特許出願
- 2011/7 パナソニックがSummilux 25mm F1.4を発売
コシナも25mm F0.95を出していますし、換算50mmのレンズは誰しもが考えることです。 オリンパスの8mmも、パナソニックと重複してしまいました。
Summilux25/1.4がシグマ製でない2つの理由
- Summilux25/1.4は完成度(品質、安定感)が高い
明確な根拠はないのですけど、EX DNよりも、Summilux25/1.4の方が使っていて気持ちが良いというか。 パナソニックらしいというか。 それとも価格差がそのまま反映されているだけなのでしょうか。 あくまでも動作に関してです。
光学性能だけで言えば、19/2.8や30/2.8EX DNがElmaritを名乗ったとしても、誰も疑問に思わないでしょう。 19mm F2.8の方は像面湾曲がタマにキズですが、中心は良いですね。
- 収差のソフト補正対応
シグマのミラーレス用レンズ19/2.8と30/2.8EX DNは、歪曲のソフト補正に対応します。 但しNEX用だけ。 何故かμ4/3用は歪曲のソフト補正に対応しないのです。
Summilux25/1.4は歪曲のソフト補正に対応するので、シグマ製とは考え難いです。 但し光学設計だけシグマということは有り得るかもしれません。
ところでパナソニックとオリンパスでレンズを違えて使った場合も、手振れ補正や収差補正、その他の挙動が変わるので、μ4/3の規格には問題が山積みです。 通信やデータの取り扱いに関する特許等、大人の事情があるのかもしれませんが、ユーザーの需要を酌んで欲しいものですね。
結論
Summilux25/1.4の光学設計のみシグマ担当で、それ以外がパナソニック担当だとすれば辻褄が合いますが、私の主観も入りますし、状況証拠にしかなりません。 Summilux25/1.4がどこの製造であろと、優等生レンズであることは間違いのない事実で、気にしないで使うのが良いでしょう。
性能
-5%の歪曲が気になりますが、中心から周辺まで収差量を読み取れない位にしっかりしていますね。 それでもSummilux25/1.4の開放が少し甘いのは、μ4/3で要求される性能水準は思った以上に高いのかもしれません。
Inf | Mod |
---|---|
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左から球面収差、非点収差、歪曲
シグマの特許を扱ったついで。
マクロ域の防振に対応する特許
特許文献、及び要約・自己解釈
- 特許公開番号 2013-3325
- 公開日 2013.1.7
- 出願日 2011.6.16
- マクロ撮影
- マクロ撮影では像振れの影響が大きい
- 補正レンズの移動量が大きい
- 高精度な補正が難しい
- シグマの特許
- 通常撮影とマクロ撮影とで、移動量のゲインを変更する
- マクロ撮影では周波数の下限を高く設ける

ファームウェア
マクロ域に対応する手振れ補正というと、キヤノンの角度振れとシフト振れに対応した EF100mm F2.8L IS USMが有名です。 この製品にはどのメーカーも追従出来ていないので、技術的な要因や特許絡み等、実現が困難である理由があるのでしょう。 キヤノン以外の、手振れ補正の付いたマクロレンズは一見無駄であるように見えますが、手振れ補正の付いた高性能な単焦点レンズとして使えますから無駄ではないです。
シグマの特許はアクチュエータの制御を工夫するというもので、シフト振れに頼らず、あくまでも角度振れの補正だけで、マクロ域の手振れ補正を実現するというものです。 周波数の最適化を行うと、マクロ撮影での大きな手振れであっても、良好な追従性を実現出来るようです。
メリットとして、キヤノン方式と異なり、既存の手振れ補正レンズで対応出来ることが挙げられます。 但しファームウェアのアップデートは、USBドックに対応したレンズ以降でしょうけど。 それにレンズ内のCPU/ASICによっては、実現出来ない可能性もありますね。
シグマのArtライン:マクロレンズ
シグマは全レンズ群をリニューアル中ですね。 マクロレンズはArtラインに位置するそうで「高水準の芸術的表現を叶える」為には、マクロ域に対応する手振れ補正が必要不可欠ですから、今は要素技術の開発中なのでしょう。
シグマの現行マクロレンズはモデルチェンジの必要が無い位に高性能ですから、Artラインのマクロレンズは一番最後に登場するような気もします。 120-300/2.8のようにデザインだけ変える ということも有り得るかもしれませんけど(特に70/2.8EX DGのデザインは)。 キヤノンはマクロ域の防振に関する特許を何件も出願しているのに対し、シグマはこれが初見。 今度も技術を煮詰めていく必要があるので、やはりマクロレンズのモデルチェンジは最後になりそうな気もします。
シグマの次のArtライン
シグマの特許を扱ったついでと、CP+2013が近いので。
19/2.8と30/2.8EX DNを見れば分かるように、DP3 Merrillのレンズも、交換レンズ化されるでしょうね。 ご存知の通り、DP2Mの30/2.8と30/2.8EX DNは異なる光学系です。
つまりDP3Mの50/2.8が交換レンズ化されるにあたり、仕様変更が想定出来るということです。 需要に応える形で最大撮影倍率を最低でも0.5倍、願わくば1.0倍とする為に、光学系の変更が行われるのではないでしょうか。 μ4/3ユーザーにはMacro-Elmarit45/2.8やM.Zuiko60/2.8がありますが、選択肢が増えるのは喜ばしいことですし、NEXユーザーには待ち望まれた中望遠マクロになります。
【追記】Ricoh GRD IVの機能拡張ファームウェア第2弾
追記です。 リコーは後継機の発売前に、決まって現行モデルのファームアップを行いますね。 今回はペンタックスとの絡みもありますが、APS-Cと4/3"用の換算28mmや、APS-C用の換算35mmと換算40mmのレンズを搭載する機種が気になるところです。