オリンパスが100mm F4.5マクロと他数本の特許を出願中です。 撮影モードに応じて、2種類のフォーカス方式を切り替える機構を内蔵しており、マクロ向きのAFや、高速に合焦するAFを使い分けることが可能のようです。

patent embodiment1: M.Zuiko 70mm f/2.8 (4/3")

patent embodiment5: M.Zuiko 100mm f/4.5 (4/3")
特許文献の説明・自己解釈
- 特許公開番号 2013-152279
- 公開日 2013.8.8
- 出願日 2012.1.24
- 実施例
embodiment 実施例 焦点距離 Fno. 画角 β 全長 BF レンズ構成 1 72.23 - 57.55 2.88 - 3.11 17.23 - 16.24 0 -0.30 100.582 16.579 10群13枚 60.52 - 53.05 2.88 - 5.80 20.37 - 5.57 0 -1.0 2 75.91 - 52.97 3.25 - 3.63 16.69 - 14.88 0 -0.60 100.580 17.152 10群13枚 66.03 - 56.95 3.03 - 5.80 18.54 - 9.69 0 -1.0 3 65.91 - 44.15 3.11 - 3.67 18.95 - 17.30 0 -0.60 100.582 19.468 10群13枚 58.70 - 44.08 2.88 - 5.80 20.34 - 11.19 0 -1.0 4 53.78 - 42.70 2.98 - 3.28 23.18 - 20.37 0 -0.60 98.843 14.922 10群13枚 39.61 - 43.89 2.88 - 5.80 28.59 - 11.42 0 -1.0 5 101.25 - 60.87 4.39 - 4.92 12.44 - 11.06 0 -0.60 108.582 25.178 10群13枚 98.97 - 53.14 4.38 - 5.80 12.69 - 8.34 0 -1.0 6 59.75 - 41.98 3.34 - 3.82 21.21 - 18.70 0 -0.60 100.582 21.447 10群13枚 64.32 - 45.50 2.99 - 5.80 19.19 - 11.22 0 -1.0 7 59.76 - 40.81 3.52 - 3.83 21.34 - 18.76 0 -0.60 100.582 17.535 10群13枚 60.77 - 46.62 3.05 - 5.80 19.88 - 10.10 0 -1.0 8 69.07 - 52.64 2.96 - 3.00 17.94 - 17.88 0 -0.20 100.582 16.737 10群13枚 58.18 - 39.76 2.88 - 5.80 21.46 - 3.00 0 -1.0 9 84.20 - 61.02 3.50 - 3.65 15.31 - 13.09 0 -0.60 96.557 13.129 10群13枚 70.27 - 61.82 3.30 - 5.80 17.35 - 8.63 0 -1.0 像高は11.15mm
- オリンパスの特許
- 第1撮影モードと第2撮影モードを備える
- 第1撮影モード
- インナーフォーカス(第4群)
- フォーカス群が1枚で、高速なAFが可能
- 第2撮影モード
- インナーフォーカス(第2群と第3群が近付く)
- フォーカスが複数群で、マクロに対応
物凄く複雑
何が複雑かって、それはテーブルタグですよ。
冗談はさておき、ズームレンズが複数の単焦点の機能を備えることに対し、オリンパスの特許は、マクロレンズとマクロでない単焦点レンズの2つの機能を備えるものです。 勿論ここで言うマクロとは「なんちゃってマクロ」ではなく本物のマクロレンズです。
何故こんな複雑なことをするかというと、マクロレンズのAFを高速化する為です。 マクロレンズはフォーカス群の繰り出し量が多いので、フォーカスリングの回転角を狭めてシビアなピントを行い難くしたものもあります。 マクロレンズが鈍重なのは原理的に仕方の無いことなのですが、このような特許申請が多いということは、それが市場需要の調査結果なのでしょうね。
実施例が沢山ある中で記事タイトルを100mmにした理由は、かつて無印4/3のロードマップに100mm近辺のマクロレンズが予定されていたからです。 μ4/3で100mmマクロを実現するにあたり、特許申請のような仕組みを考えているのかもしれません。
embodiment1:70mm f/2.8 | embodiment5:100mm f/4.5 | |
---|---|---|
第1撮影モード | ![]() |
![]() |
第2撮影モード | ![]() |
![]() |
左から順に、球面収差、非点収差、歪曲、倍率色収差。
エンジニア泣かせ
エンジニアに限った話ではありませんが、お盆前一週間は、お盆を無事に休めるかどうかの瀬戸際です(お盆中に働く方、ごめんなさい)。
光学系に関するオリンパスの特許申請は、極めて複雑な仕組みが増えてきました。 今回のマクロは性能が不十分で直ぐに商品化というわけにはいかないと思いますが、次世代競争を見据えているのでしょう。
主流になる方式は、某社のマイクロ60mm F2.8Gのようにフォーカス群が1枚ないしそれに近い構成で、速度と性能をそこそこ両立しつつ、機構を単純化したレンズでしょう。 しかしメディアの脚光を浴び続け話題になるのは、オリンパスのように新しいことに挑戦するレンズでしょうね。