ニコンが、画素数の多いAEセンサを使って、高度なAFやAEの制御を行う特許を出願中です。 D800/EやD4において確立された技術と思われ、普及が期待されます。

特許文献、及び要約・自己解釈
- 特許公開番号 2013-42288
- 公開日 2013.2.28
- 出願日 2011.8.12
- 一眼レフのAEセンサ
- シーン解析にも使用可能
- オートエリアAF、3Dトラッキング
- ニコンの特許
- AEセンサを、AF制御に有効利用
- 従来は制約があった
- AFエリア固定型
- シーン解析は不要
- AEセンサのFPSは、AFセンサより低速(でも良い)
- 被写体追従型
- シーン解析を使うが、失敗した場合は従来のアルゴリズムを使う
- AEセンサのFPSは、AFセンサより高速(同等以上)
ミラーレス機の機能を導入しつつある一眼レフ
ミラーレス機はライブビューによって、高度なシーン解析や顔認識が可能で、従来の一眼レフよりも有利でした。 従来の一眼レフで同じことをするには、ミラーアップによるライブビューモードを使う必要がありました。
しかし今ではAEセンサの多画素化によって、同じことを実現可能になりました。 具体例としてはニコンD800/EやD4で、91KピクセルRGBセンサーを搭載しています。 いわばOVF内にデジタルカメラを積んでいるようなものです。
ミラーレスは単一のセンサ(撮像素子)でAEもAFも全てまかないますが、一眼レフはセンサ毎に最適化が可能です。 AEセンサを高速駆動させ、高度なAF駆動を実現出来るようです。
厳密に分析し、正確に認識したデータを応用することでさらに精度を高めたAF、AE、そしてi-TTL調光、ADL、AWB。
91KピクセルRGBセンサーを活用したアドバンストシーン認識システム【NEW】
但し採用されているのはD800/EとD4のみに留まります。 発売年が新しくても、フルサイズ入門機のD600や、APS-C中級機のD7100では採用されていません。 もしアドバンストシーン認識システムを採用したAPS-C機があれば、名実ともにAPS-Cフラッグシップ機を名乗れますね。
記事を書く時にD4の仕様を確認しましたが、D4のサンプル画像は、解像感に乏しいものの、つながりは意外に滑らかで、また暗部はかなり美しいですね。 D4の撮像素子をF6に詰め込んだカメラとか良いと思うのですけど。
画素数の多いAEセンサの、光源体への対処法
特許文献、及び要約・自己解釈
- 特許公開番号 2013-42289
- 公開日 2013.2.28
- 出願日 2011.8.12
- AEセンサの問題点
- AEセンサは、信号値が飽和しない制御が行われることが多い
- AEセンサのブロック数(分割数、画素数)が多いと、太陽等の高輝度な光源では、あるブロックが飽和し易い
- そのブロックを飽和させない制御になる為、高輝度な光源の無いブロックでは、黒つぶれし易い
- ニコンの特許
- シーンに応じてブロックの分割数を変更する
光源体の大きさが同じであれば、ブロック数が多くなるにつれて、白飛びするブロックも増えていきます。 従って、従来のアルゴリズムでは対応出来ないようです。
ニコンD800/EやD4では91KピクセルRGBセンサーが採用され、従来の1005分割RGBセンサーや2016分割RGBセンサーよりも分割数が遥かに増えています。 最大で91K分割まで使えると思いますが、シーンに応じて分割数を減らしているのかもしれません。 実際に特許のアルゴリズムが製品で使われているのか分かりませんが、ニコンのAEアルゴリズムはかなりよく検討されているようですね。
画素数の多いAEセンサの、省エネ化
特許文献、及び要約・自己解釈
- 特許公開番号 2013-41039
- 公開日 2013.2.28
- 出願日 2011.8.12
- ニコンの特許
- ミラーアップ時には、測光センサをOFFにする
- 特許公開番号 2013-42204
- 公開日 2013.2.28
- 出願日 2011.8.11
- ニコンの特許
- 画素数の多いAEセンサは高クロックが必要になり、消費電力が増大する
- AEセンサにスリープモードを導入する
- AEセンサの省エネ化が可能
画素数が多いこと
最近はあらゆるデバイスの画素数が増加傾向にあります。 撮像素子の画素数、背面LCDの画素数、EVFの画素数、AEセンサの画素数…。
ところでミラーレス機にはEVFを使えるものがありますが、背面LCDよりもEVFの方が消費電力が大きいのです(機種による)。 これはFPSを稼ぐ為に高クロックで読み出す必要がある為です。 一眼レフのOVFよりも良い見栄えを実現するには、画素数とFPSを向上させる必要があり、消費電力が増大する一因となっています。
世代 | 旧 | 新 |
---|---|---|
画素数 | 少 | 多 |
消費電力 | 小 | 大 (特許技術による省エネ化が必要) |
用途 | RGBマルチパターン測光、他 | RGBマルチパターン測光、顔認識、高度なシーン認識、他 |
主なカメラ | F5、F6、各種DSLR、D600、D7100 | D800/E、D4 |
ニコンD800/EやD4では91KピクセルRGBセンサーが採用され、画素数が大幅に向上したので、省エネ化が検討されたのだと思います。 両機種ともパワフルなバッテリーが採用されているので、特許の効果は分かり難いですが(そもそも製品に採用されたのかどうか)、バッテリーライフはかなり良好のようですね。
一眼レフの未来
ミラーレスのシェア上位には、叩き売りお買い得感のある機種が目立ちます。
販売価格ベースでのデータが無いので確かなことは言えませんが、発売日や値下げ率からすると、OM-D E-M5は実力によって高いシェアを得たようですね。
1位から5位までのモデルは、すべて2011年発売のモデル。人気の理由は、機能と価格のバランスのよさだろう。2012年、一番売れたミラーレス一眼&デジタル一眼レフカメラはこれだ!
市場の活性化に貢献しているのが小型・軽量のミラーレス一眼で、デジタル一眼全体の販売台数に占める割合は、1月には44.7%に達した。ニコンがデジタル一眼市場で4か月連続で1位に 年末年始に伸びる
各種Webや雑誌等あらゆるメディアでミラーレスが取り上げられているにも関わらず、依然として一眼レフのシェアは過半数を超えるようです。 ミラーレス市場が成長過程にある為か、両者の違いを理解した上で一眼レフが選ばれているのかは不明です。
もし後者であれば、動体追従AFや省エネその他に優れる一眼レフが選ばれているということでしょう。 運動会や何らかのイベント等で撮影画像に結果を求める為、ミラーレスへ買い換える必要性を感じない為、レンズから選ぶ為、その他にも色々あるかもしれません。 換言すると、ミラーレスのメリットとして小型軽量廉価がよく挙げられますが、ある一定数以上の層にとって、一眼レフの大きさ、重量、価格は許容範囲内でもある、ということです。 携帯性無視で、撮影し易い大きさのミラーレス機ということなら、個人的にはGH3しか挙げられません。
前者であれば、激しく動く被写体ばかり撮るわけではありませんから、ミラーレスが大半のシェアを得るのは時間の問題です。 しかし、ミラーレスは撮像素子がAEセンサとAFセンサを兼ねるのに対し、一眼レフは専用のAEセンサとAFセンサと設けることで最適化が可能です。 当面は一眼レフ優位という市場評価で、利益ベースのシェアでは優位に立てるかもしれませんね。